数学者はコーヒーを入れると定理（の証明）を吐く関数だと言われます。数学者に限らず、研究者はコーヒーを入れると論文を生産するマシンです。もちろん研究者に限らずとも、コーヒーを飲みながら仕事・勉強をする人もたくさんいるでしょう。ただ、コーヒーを飲まなくても生きていくことはできます。その意味で、コーヒーが嗜好品であることは間違いありません。
では、私たちはコーヒーを楽しめているでしょうか？嗜好品であればその日の気分によって違う豆を使いそうなものです。その日の気分によって、飲むお酒を変えるでしょうし、着る洋服を変え、香水を変え、メイクを変えるものです。論文を書くマシンであるところの研究者が皆、そういうレベルで日々コーヒーを楽しんでいるわけではなさそうです。そもそも私たちはコーヒーについて何も知らないのかもしれません。コーヒーの説明に使われている六角形のチャートや「最高品質」という言葉の意味もよくわからないという人が大多数のはずです。
今回は、芦屋・神戸で珈琲店（RIO COFFEE）を経営するコーヒー体験研究家でもある八木さん、その共同研究者で神経科学や知能情報学を専門とするNICTの西田さんをお招きして、コーヒーを楽しむために、あるいは楽しみ続けるために、どのような試みがなされてきたのかご紹介いただきます。さらに、コメンテーターとして、ウィスキーの愛好家であり、哲学者である神戸大学人文学研究科の新川さんをお招きし、お二人のトークに対してコメントをいただきます。

なお、このサロンはどなたでも参加が可能です。また、新入生の方の参加も歓迎します。